信用は一瞬で失う

今、勤めている会社に入社して約2年半。

ちょうど1年前まで、

毎日会社帰りに寄っていた

和菓子屋さんがある。

なぜこの1年行かなくなったかというと

その日買って食べたまんじゅうが

硬かったから。

いつもお店の片隅の

畳で出来た椅子で食べていた。

『うちは前日作ったものは

翌日店に置かない』

そう言っていたのに

その日食べたまんじゅうは

硬かった。

前日の売れ残りを置いていたと

わかってしまい、

一気に興ざめした。

間違えて置いたままになってしまったとしても

許せない。

たかが110円のまんじゅうで

そこまで？と思うかもしれないけど。

いつでもその日作った

おいしいまんじゅうが食べられるという

信用があるから

安心して

毎日通っていた。

その硬いまんじゅうは

全部食べた。

もう二度と来ることはないと思いながら

食べた。

昭和の雰囲気が漂う店構え。

地域密着の地元に愛されている

といった感じのお店。

なぜ毎日寄っていたかというと

入社まもない頃

この会社でやっていけるか悩んでいた。

1日が終わり、退社すると

ホッとして

甘いものが欲しくなった。

一見入りづらかったけど、

思い切って入ってみると

優しそうな店番のおばちゃんがいた。

大福を1個買って食べた。

甘すぎないこしあん。

しっとりして柔らかい。

煉獄さんじゃないが、

うまい！！！

一気にファンになり

毎日会社帰りに寄った。

おばちゃんとの会話も

仕事のストレスを忘れられて

心地よかった。

大福、まんじゅう、草もち、

みたらし団子、上生菓子など…

品数は多くないが

どれもこれも素朴でおいしかった。

1日の疲れは

いつもそこで癒されていた。

お店のおばちゃんとも

仲良くなっていた。

残念だけど

お別れです。

もうすぐ草餅の季節。

冬場限定の草餅は格別においしかった。

あー、誰か代わりに買ってきてくれないかなぁ。